1995 年 57 巻 3 号 p. 520-524
悪性黒色腫のコンピューター診断を目的に, 色素性母斑を対照として画像解析を行った。病変の撮影には偏光クロスレンズを装着したデジタルカメラを用いたが, 偏光下で撮影することにより表面反射が取り除かれ, 角層下の色調が明瞭に認められた。病変の範囲の決定に最も有用であったのは色の三属性のうち明度であったことから, 病変領域の抽出には明度を用いた。こうして抽出された病変の形状と色調について解析を行ったところ, 悪性黒色腫より色素性母斑のほうが色素沈着領域の辺縁の形は不整であることが判明したが, 一方で悪性黒色腫は病変全体に占める暗調領域の割合が高いことが判明した。両者の鑑別がある程度可能であることから, この解析法は侵襲的な方法で診断を行う前の補助的手段として有用と思われた。