西日本皮膚科
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研究
アトピー性皮膚炎におけるダニに対する即時型アレルギー反応の関与
—ダニ特異IgE高値, スクラッチテスト陽性患者末梢血単核球のダニ抗原刺激によるIL-4およびIL-5産生の検討—
幡本 明利古賀 哲也利谷 昭治
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1996 年 58 巻 1 号 p. 98-101

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抄録
われわれは臨床的にアトピー性皮膚炎(以下AD)と診断された12歳から50歳までの85名(男性46名, 女性39名, 平均年齢22.09歳)を対象に血清総IgE, 血清ダニ特異IgE, 血中好酸球(%)の測定およびダニ抗原を用いたスクラッチテストを施行した。ダニ特異IgEが高値で, かつスクラッチテスト陽性の患者は48名(56.5%)であった。この一群の48名のうち血清総IgEが400 IU/ml以上のものは42名で, 平均6549 IU/mlであり, また血中好酸球が5%以上のものは40名, 平均10.1%であり, この群は血清総IgEが高く末梢血好酸球も高い群であった。この群のAD患者15名より末梢血単核球を採取しダニ抗原刺激によるIL-4とIL-5の産生を調べたところ, IL-4とIL-5の産生がみとめられた。以上より, 臨床的にADと診断された患者の中には, ダニ特異IgEが高く, かつダニスクラッチテスト陽性反応を示す, おそらくダニに対する即時型アレルギー反応が皮疹の発現に深く関与していると思われるような一群が約50%存在し, またこの一群は血清総IgEが高く, 末梢血好酸球も高いことがわかった。また, このような一群のAD患者の末梢血中にはダニ抗原刺激によりIL-4やIL-5を産生するようなダニ特異的T細胞が存在することがわかった。これらのダニ特異的T細胞から産生されるIL-4やIL-5が高IgE血症や好酸球増多に何らかの関与のあることが示唆された。
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© 1996 日本皮膚科学会西部支部
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