西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
好酸球性筋膜炎
有沢 祥子吾妻 靖子新田 悠紀子池谷 敏彦
著者情報
ジャーナル 認証あり

1996 年 58 巻 3 号 p. 378-381

詳細
抄録

39歳の男性。荷物運搬の筋肉労作後に項部, 上背部に硬化性皮膚病変が生じ, 次第に腰部, 両前腕, 両下腿に拡大し両膝関節, 足関節の拘縮を伴った。レイノー現象, 内臓病変は認められない。末梢血好酸球の軽度の上昇(440/mm3), 病理組織学的に筋膜の著明な肥厚が認められ, 好酸球性筋膜炎と診断した。ベタメサゾン3mg/日の全身投与で皮膚硬化の軽快がみられず, 治療を中止。皮疹は無治療で10ヵ月後には色素沈着を残し自然消退した。本症例において病変部に著明な線維化, 小円形細胞, 好酸球および肥満細胞の浸潤を認め, この疾患の発症機序に好酸球, 肥満細胞が重要な役割を果たしていることが推測された。

著者関連情報
© 1996 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top