抄録
Itraconazole(I)の爪白癬に対する有効性, 安全性をgriseofulvin(G)を対照として二重盲検法により比較検討した。混濁比3段階以上改善を有効例とした有効率はI群45/53例(84.9%), G群54/59例(91.5%)でI群のG群との同等性は認められなかった。混濁比6段階以上改善及び治癒例を著効とする著効率ではI群34/53例(64.2%), G群29/59例(49.2%)であった。有効例の内訳をみると混濁比の3段階改善例がI群では4/45例(8.9%)であったのに対しG群では12/54例(22.2%)を占め, これがG群の有効率が高い一因でもあった。効果発現時期を混濁比の累積改善率が50%を越える日数(中央値)で比較するとI群83日, G群92日であった。また趾爪においてはI群85日, G群123日であり1ヵ月以上の開きがあった。安全性に関しては安全と評価された症例はI群68/84例(81.0%), G群67/83例(80.7%)で有意差は認められなかった。副作用はI群13/84例(15.5%), G群13/83例(15.7%), 臨床検査値異常はI群3/80例(3.8%), G群4/76例(5.3%)であった。なお今回認められたitraconazoleの副作用及び臨床検査値異常の内容は本剤の主として2∼8週投与による既承認表在性皮膚真菌症試験成績で報告されているものと異ならず, 長期間投与による安全性上の問題は特になかった。以上よりitracoanzoleは爪白癬治療に対して有用な薬剤と考えられた。