21歳の男性。平成4年6月頃白血病を発病, 平成6年8月から当院第1内科においてALL(L
1)の診断の下に化学療法を受けていた。同年9月21日, 急激に全身各所に播種状に紅斑·丘疹性皮疹が出現した。皮疹は有痛性で比較的急速に増えたようにみえ, 後で多くは自潰·結痂, ついで潰瘍化した。同年11月5日, 3個の皮疹を生検, 一部を培養した。病理組織学的に真皮から皮下にかけて血管内および血管周囲組織内に有隔壁の菌糸が無数に認められた。生検組織片からの培養は陽性で菌学的に
Fusarium solaniと同定された。ミコナゾール(フロリード
®), ついでアムホテリシンB(ファンギゾン
®)を使用したが, 皮疹にはほとんど効果がなかった。患者はフザリウム感染の診断確定後1ヵ月足らずで死亡した。剖検によって側頭筋, 喉頭筋, 心, 肺, 腎, 膵, 骨盤腔などに膿瘍(菌糸多数)の存在が確認された。
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