抄録
爪カンジダ症あるいはカンジダ性爪囲爪炎を有する患者38例を対象にitraconazole 100 mgを1日1回経口投与したときの有効性, 安全性, 有用性をオープン試験により検討した。有効性に関しては爪カンジダ症に対する有効率92.9%(13/14), 菌陰性化率92.3%(12/13), カンジダ性爪囲爪炎に対する有効率91.7%(11/12), 菌陰性化率100%(10/10)であった。また症状別推移においても主な症状である爪カンジダ症の混濁比およびカンジダ性爪囲爪炎の発赤, 腫脹, 圧痛において投与開始時と比較し投与8週時には有意な改善(P<0.01)が認められた。一方, 安全性に関しては安全と評価された症例は両疾患合わせて94.1%(32/34)であり, 副作用としては悪心および歯肉出血の増悪が認められたが, いずれも投与中止後回復。また臨床検査値の異常変動は認められなかった。有効性と安全性を加味した有用性評価は爪カンジダ症に対する有用率92.9%(13/14), カンジダ性爪囲爪炎に対する有用率84.6%(11/13)であった。以上の成績よりitraconazoleは爪カンジダ症およびカンジダ性爪囲爪炎に対し高い有効性, 安全性, 有用性を有する薬剤であると考えられた。