西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
家族内発症した全身性強皮症(PSS)の姉弟例
前田 学掛札 啓資雄山 瑞栄可知 久代北島 康雄
著者情報
ジャーナル 認証あり

1997 年 59 巻 1 号 p. 15-19

詳細
抄録

症例1は48歳の女性, 1985年寒冷時に右手示指にレイノー症状が生じ, その範囲は次第に両手の示指·中指へ広がった。1988年手指, 顔面, 頚部に硬化が認められ近医を受診し当科に紹介された。1990年7月よりプレドニゾロン1日5mgとDペニシラミンの内服を開始した。1991年9月よりフォトフェレーシスを計5回施行した。1992年3月頃にうつ状態となり精神科を受診するようになったため来院困難になった。この頃より全身の皮膚硬化が悪化し躯幹にも波及し当科に入院した。入院後, 経中心静脈的プロスタグランディンE1長期持続注入療法施行により急速に皮膚硬化は改善し前腕の伸展も可能になった。症例2は46歳の男性で症例1の弟。1984年春レイノー症状出現, 1987年呼吸困難出現し, 1988年1月大阪病院に入院し肺線維症を指摘され2月より在宅酸素療法を受けていた。1990年11月よりフォトフェレーシスを計5回施行したところ硬化は改善傾向をみたが, 1991年末頃にうつ状態が出現した。1992年2月呼吸困難, 全身倦怠感が出現し1993年5月肺性心のため死亡した。両者とも抗Scl-70(トポイソメラーゼI)抗体陽性, HLAは共にDR4, Cw3, B35, A2陽性である。本例は稀な家族内発症の姉弟例であると考えられた。

著者関連情報
© 1997 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top