西日本皮膚科
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症例
多彩な臨床像を呈した結核疹
山田 夏恵竹川 恵杉田 泰之佐々木 哲雄中嶋 弘
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1997 年 59 巻 1 号 p. 52-56

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抄録

多彩な臨床像を呈しながら病理組織学的にはいずれも壊死を伴う肉芽腫と血栓を伴う血管炎を主所見とする結核疹の1例を報告した。症例は67歳の男性。59歳時から両下肢に硬結を伴う紅斑が出現, 一部には膿疱も出現した。64歳時, 亀頭部にも同様の皮疹が出現し一部は潰瘍化した。全身症状は認められなかった。病理組織学的には亀頭, 下腿, 大腿のいずれの皮疹においても壊死を伴う肉芽腫と血栓を伴う血管炎が認められたが, 結核結節, 乾酪壊死, Langhans型巨細胞などは認められなかった。ツ反陽性。陰茎部病巣からの抗酸菌培養陰性。大腿部および下腿部病巣からのPCR法による結核菌DNA陰性。以上より結核あるいは結核疹としての確証は得られなかったが結核疹を疑い抗結核療法を6ヵ月間行った。その結果, 皮疹は急速に消退傾向を示し4週後には略治状態となり, 中止後1年6ヵ月の現在再発はない。

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© 1997 日本皮膚科学会西部支部
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