抄録
15歳の女性, 再生不良性貧血でG-CSF投与後に下肢·躯幹に有痛性皮下硬結が出現するようになった。久留米大学医学部皮膚科初診時, 左大転子部に直径7cmの中心壊死傾向を示す扁平隆起性紫紅色結節が認められた。病理組織学的には真皮乳頭層から脂肪織にかけて血管炎を伴わない密な好中球の浸潤と核破壊像および赤血球の血管外漏出の所見を呈していた。皮疹はG-CSF投与後に白血球増多を伴って再発したこと, 同薬の投与量を減量することにより再発が認められなくなったことから, 自験例をG-CSF投与により誘発されたneutrophilic dermatosisと診断した。