西日本皮膚科
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症例
寒冷蕁麻疹
星山 弓恵上里 博新城 佳代青木 武雄野中 薫雄
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1998 年 60 巻 4 号 p. 433-437

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抄録

47歳の女性に発症した寒冷蕁麻疹の1例を報告した。寒冷誘発試験としてice cube testでスクリーニングを施行した。3分間氷を前腕部に接触させた8分後から接触部位に一致して膨疹の出現がみられた。次に誘発温度測定では10°C以下で膨疹の出現がみられた。また, 正常コントロールと自験例において寒冷接触刺激試験と同時にサーモグラフィーによる皮膚温変化を観察した。コントロールでは寒冷刺激後, 皮膚温の上昇はみられなかったが, 自験例では皮膚温の上昇は著明であった。沖縄県は北緯26度, 東経127度に位置し, 亜熱帯に属する。沖縄の日常診療ではなかなか寒冷蕁麻疹に遭遇する機会はなく, 琉球大学医学部附属病院皮膚科外来1988年から1997年における蕁麻疹患者361人中, 寒冷蕁麻疹は8人であった。しかし最近の生活習慣の変化, つまり冷凍食品などが頻用されるようになっていることは, 自験例のような症例があることを留意する必要があると思われる。

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© 1998 日本皮膚科学会西部支部
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