西日本皮膚科
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症例
特異疹を認めた急性単球性白血病の1例
井口 牧子角田 孝彦石澤 賢一湯田 文明大原 京子
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ジャーナル 認証あり

1999 年 61 巻 1 号 p. 59-61

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抄録

76歳の男性。半月前より発熱と急性上気道炎症状があり, 体幹部に自覚症状のほとんどない紫紅色斑が出現し, その後拡大傾向がみられた。入院時の末梢血においてmonocyteが26%と増加し, promonocyte 10%およびmonoblast 7%と芽球の出現が認められた。腹部紫紅色斑の病理組織像では, 表皮に異常はなく表皮直下にgrenz zoneが介在し, 真皮上層から中層にかけてやや大型で異型の単球様細胞が, びまん性に浸潤していた。異型細胞はヘマトキシリン好性で折れ重なった核とエオジン好性の胞体を有していた。骨髄においても同様の異型単球細胞が確認できた。これらの細胞は, CD68陽性, リゾチーム陽性であることが皮膚, 骨髄両方で認められた。以上より急性単球性白血病と診断し, 多剤併用療法3クール目で完全寛解に導入され, 皮疹は治療7日目には, ほぼ消退した。急性単球性白血病は白血病の中でも皮膚浸潤の頻度が高く本邦では12∼44%との報告があり, 自験例のようなgrenz zoneの記載について調べた範囲では10例中5例にみられた。

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© 1999 日本皮膚科学会西部支部
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