西日本皮膚科
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研究
SDI法による皮膚悪性腫瘍の抗癌剤感受性の検討
前田 尚子村上 義之熊澤 智子竹内 聡占部 和敬古賀 哲也古江 増隆永江 祥之介前原 喜彦
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2001 年 63 巻 4 号 p. 431-437

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抄録

当科では1985年から1998年の14年間に90例の皮膚悪性腫瘍に計19種類の抗癌剤に対する抗癌剤感受性試験をsuccinate dehydrogenase inhibition(SDI)法により施行した。全90例におけるSDI法の評価可能例は84/90例,squamous cell carcinoma(SCC)の評価可能例は24/27例, malignant melanoma(MM)の評価可能例は15/15例, malignant lymphoma(ML)の評価可能例は13/14例, extramammary Paget’s disease(EPD)の評価可能例は7/8例であった。SCCでCDDP, CBDCA, ACR, CQ添加後のコハク酸脱水素酵素(succinate dehydrogenase; SD)活性値はそれぞれ45.0, 47.9, 47.3, 44.0%,MMでADM, MMC, CDDP添加後のSD活性値はそれぞれ28.3, 29.2, 36.7%, MLでVLB, CDDP, CPA, DNR, ACT-D添加後のSD活性値はそれぞれ35.6, 34.0, 37.0, 22.2, 32.3%, EPDでCPA, VP-16添加後のSD活性値はそれぞれ29.1, 40.3%で感受性(+)であった。今回は,各腫瘍で経験的,標準的に使用されている薬剤での高い感受性,同一薬剤に対する腫瘍間の感受性の差は共に認めなかった。皮膚腫瘍領域で抗癌剤感受性試験の報告は少なく,SDI法の臨床応用には症例数の集積とともに方法の研究,改善が必要と思われた。

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© 2001 日本皮膚科学会西部支部
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