抄録
71歳,男性。2001年6月11日,山火事の消火中,顔面·胸部左側·腎部·両上肢·下肢前面にIII度25%,深達性II度5%の熱傷受傷(BI=27.5)。両下肢は全周性ではなかったが,前面は深達性熱傷であり,コンパートメント症候群により両側前脛骨筋は壊死に陥っていた。デブリードマンにより露出した脛骨に対し,トレファネーション(穿孔術)を施行したところ,術後約4週間後に肉芽形成を認めた。左脛骨の露出は10×2.5cmと広範であり,トレファネーションによる治療を断念したが,右脛骨の露出部(3×1cm,4×1cm)はトレファネーションにより治癒した。今回の症例から小範囲(2×3cm程度)の骨露出面では,筋皮弁を作成することなく,機能温存を目的としたトレファネーションによる肉芽形成が可能と考えられた。