2004 年 66 巻 2 号 p. 113-116
71歳, 男性。四肢に浸潤を触れる丘疹状の紫斑が出現。少し遅れて下腿浮腫, 蛋白尿も出現した。病理組織像では真皮上層を中心に壊死性血管炎の所見がみられ, 一部では真皮下層にまで同じような血管病変がみられた。また真皮下層の一部の血管病変でIgAの沈着が認められた。一方, 本例はネフローゼ症候群を合併したため, 内臓悪性腫瘍の有無について全身検索を行ったところ, 腎細胞癌が発見された。高齢者のアナフィラクトイド紫斑が内臓悪性腫瘍のデルマドロームであることを示唆する症例と思われた。