西日本皮膚科
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症例
Chromobacterium violaceum感染による難治性皮膚潰瘍の1例
中村 徳志古城 八壽子中川 敬一
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2004 年 66 巻 3 号 p. 261-265

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抄録

症例は83歳, 男性。2000年8月側溝のセメントで右下腿屈側に鶏卵大の擦過傷を受傷, 自己治療したが治らず皮膚潰瘍となった。近医にて外用療法を受けるも軽快せず, 4カ月後当科を受診した。初診時発熱および右下腿屈側に疼痛・堤防状の瘢痕を伴う皮膚潰瘍と蜂窩織炎を認めた。潰瘍部よりChromobacterium violaceum (以下C. violaceum) が検出されたため, ミノサイクリンの全身投与と局所の保存治療を行い治癒した。C. violaceum感染症の治療は, テトラサイクリン・クロラムフェニコール・アミノ配糖体などの抗菌剤の選択が必要であるが, 自験例はミノサイクリンが著効した。C. violaceumは熱帯・亜熱帯の水や土壌に存在するため, 本邦での感染はきわめて稀であり, 蜂窩織炎の報告は自験例が初めてである。海外旅行の増加, 地球の温暖化や輸入動物の増加に伴い本邦でも注意が必要な感染症と思われる。

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© 2004 日本皮膚科学会西部支部
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