西日本皮膚科
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症例
Solitary Fibrous Tumorの1例
田代 あかり桐生 美麿中守 真理豊島 里志
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2005 年 67 巻 3 号 p. 236-238

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抄録

症例は32歳の女性。2003年4月頃より背部の疼痛を伴う皮下腫瘤を自覚するようになり,同月当科受診した。初診時左肩甲骨下方に鶏卵大の弾性軟の皮下腫瘤を触知し,切除した。腫瘤は直径約3.5cmの紫紅色調で,皮下筋膜上に存在した。病理組織像では,境界明瞭で好塩基性に染まる類円形の腫瘍塊を認め,増殖細胞とそれを取りまく膠原線維が入り組んでいる像を認めた。またstoriform patternや,hemangiopericytoma様の血管構築を示す像も認めた。構成細胞は類円形ないしは短紡錘形で,異型はみられなかった。免疫組織化学染色では,CD34,vimentinで陽性を示した。以上より自験例をsolitaryfibrous tumor(SFT)と診断した。SFTは従来localized fibrous mesotheliomaと呼ばれていた疾患で,主に胸膜に発生するが,胸膜以外の発生例も多数報告されている。しかし皮膚科領域での報告例は非常に少なく,今後皮膚科においても軟部腫瘍の鑑別疾患のひとつとして考慮すべきであると考えられた。

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© 2005 日本皮膚科学会西部支部
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