西日本皮膚科
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67 巻, 3 号
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図説
症例
  • 黒田 倫代, 金子 栄, 森田 栄伸, 出来尾 哲, 山田 義貴, 田中 稔彦, 秀 道広
    2005 年 67 巻 3 号 p. 197-200
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    58歳の男性。初診の約4年前より,特に誘因なく腹部・下肢を中心に1~2日間持続する膨疹が散発的に出現していた。近医にて抗アレルギー薬にて加療されていたが,椎間板ヘルニアの手術を契機に膨疹が毎日出現するようになり当科へ紹介された。自己血清皮内テスト陽性,健常人末梢血を用いたヒスタミン遊離試験陽性であり,乳酸処理血球による検討結果から抗IgE型自己抗体による自己免疫性蕁麻疹と考えた。ステロイドミニパルス療法を行うも膨疹は完全には抑制されなかった。プレドニゾロン15mg/day,シクロスポリン150mg/day,塩酸オロパタジン10mg/dayを併用投与し,膨疹の新生はみられなくなった。入院以前より腹部膨満感を訴えていたため,腹部の画像精査を行ったところ,胆石の頚部陥頓を伴う無機能胆嚢および胆嚢炎の所見があり,腹腔鏡下に胆嚢摘出術を施行した。術後,プレドニゾロンおよびシクロスポリンは漸減中止し,塩酸オロパタジン内服のみとしたが膨疹の出現はみられなかった。膨疹消失時血清によるヒスタミン遊離量は減少しており,症状と平行していることが確認された。胆嚢炎および胆石症の治療も症状の改善に関連した可能性のある興味ある症例と考え報告した。
  • 舛 貴志, 芳賀 貴裕, 奥山 隆平, 相場 節也
    2005 年 67 巻 3 号 p. 201-203
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    64歳,女性。19年前からCrohn病のため加療を受けている。膝関節痛,腹痛と共に両下腿に皮疹が出現したため当院を受診した。初診時,両下腿にpalpable purpuraが多発していた。組織学的に血管構造の破壊と多数の好中球浸潤,軽度の核残渣を認め,leucocytoclastic vasculitisの所見を示した。消化管内視鏡検査でCrohn病に特異的な回盲部の縦走潰瘍がみつかり,腹部CTで小腸壁の肥厚を認めた。以上から,Crohn病の再燃に伴って生じたアナフィラクトイド紫斑と考えた。Crohn病とアナフィラクトイド紫斑の合併は稀ではあるが,自験例は両者の関連性を示唆すると思われるので報告する。
  • 行徳 英一, 真田 聖子, 数田 泰治, 高路 修
    2005 年 67 巻 3 号 p. 204-207
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    33歳,女性のアレルギー性血管炎の1例を報告する。咽頭痛,発熱,および四肢に生じた散在性の紅斑,紫斑,水疱を主訴に当科を受診した。皮疹以外の特記すべき異常として,扁桃炎とASOの高値を認めた。皮膚の紫斑部の病理組織学的検査では真皮全層にleukocytoclastic vasculitisの像を呈していた。免疫蛍光抗体直接法で血管壁にIgG,IgA,fibrinogenの沈着を認めた。ステロイド,免疫抑制薬,ジアフェニルスルホン(DDS),コルヒチン内服,扁桃摘出などの治療を行ったが,効果はなかった。ステロイドミニパルス療法は効果があり,四肢の紫斑出現はみられなくなったが,しばらくすると両下腿後面に手掌大の潰瘍が出現した。ミニパルス療法を繰り返したが潰瘍は完全に消退することはなかった。我々は残存するそれらの潰瘍に対して,潰瘍周囲組織を除去し,植皮術を施行し潰瘍面を閉鎖した。現在プレドニゾロン(5mg/日)内服中であるが,新たな紫斑,潰瘍の出現はない。
  • 高田 智也, 横川 真紀, 千々和 龍美, 中村 寿宏
    2005 年 67 巻 3 号 p. 208-210
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    35歳,女性。東南アジア出身。来日して初めての冬に両手指および両足趾に有痛性の浮腫性紫紅色斑が出現した。Chilblain lupus(凍瘡様狼瘡)として加療を受けるも3ヵ月後に発熱,関節痛および脱毛斑が出現し,まれとされるSLEへ進展した。Chilblain lupusは寒冷刺激により発症あるいは増悪するとされ,自験例では来日による生活環境の温度変化が誘引となったと考えた。
  • 尾形 美穂, 三砂 範幸, 中房 淳司, 三浦 由宏, 成澤 寛
    2005 年 67 巻 3 号 p. 211-214
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    70歳の女性。左下顎部に痂皮を伴う2.2×2.0cmの紅色調の結節を主訴に受診した。また,左頚部に3cmの皮下腫瘤を認めた。左下顎部結節の皮膚生検により,真皮内に類上皮細胞肉芽腫を認め,諸検査結果をふまえ結節型皮膚サルコイドーシスと診断した。頚部リンパ節腫大とともに結節型としては表皮変化が特徴的であり,中央部にびらん,痂皮を伴い,病理組織学的にexocytosisと,lichenoid tissue reactionを認めた。経過中,左下顎部の結節は自然軽快したが,頚部リンパ節が明らかに増大し,悪性リンパ腫との鑑別が必要となった。頚部MRIと細胞診の結果より,サルコイドーシスに伴うリンパ節腫大と考え,更に経過観察のみ行ったところ,皮膚結節,リンパ節ともに消失した。
  • 岩田 賢治, 岡田 茂
    2005 年 67 巻 3 号 p. 215-217
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    先天性皮膚欠損症は,出生時皮膚の一部に欠損を認めるもので,ときに筋肉や骨が欠損したり,四肢欠損などの合併奇形を生ずる場合がある。まれに出血や感染症の合併により死亡する症例もある。1986年にFriedenは先天性皮膚欠損症を9つの群に分類した。今回,我々は第5群と思われる症例を経験した。生後1ヵ月,男児。血族に同症なし。妊娠中の外傷および感染症はなかった。妊娠11週まで双胎であったが第2児は体内死亡。妊娠38週4日帝王切開にて出生。紙様児を伴った。出生時より両側胸部に紅色の広範な萎縮性瘢痕を認めた。他の奇形の合併や明らかな遺伝的背景はなかった。本症例は多胎妊娠に伴う先天性皮膚欠損症として本邦で11例目である。
  • ―毛包一致性丘疹が多発した1例―
    竹尾 千景, 小宅 慎一, 竹村 卓也
    2005 年 67 巻 3 号 p. 218-220
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    29歳,男性。初診の1ヵ月前より背部,四肢にそう痒を伴う白色~黄色調の小丘疹が出現,徐々に多発した。躁鬱病のため神経科に通院中であるが,ストレス解消のため通常の食事以外に糖分の多い清涼飲料を2~3l一度に飲んだり,まんじゅうやケーキを10数個一度に食べるという食生活を送っていた。血液検査ではトリグリセリド5495mg/dl,VLDL 4700mg/dl,カイロミクロン6480mg/dl,空腹時血糖314mg/dl,V型の高脂血症,糖尿病を合併していた。病理組織学的に毛包周囲に浸潤する組織球と泡沫細胞を認め,その周囲の真皮では上層から中層の膠原線維間にも泡沫細胞が浸潤していた。過食もしくは糖尿病を原因とした続発性高脂血症に伴う発疹性黄色腫と診断し,血糖コントロール,高脂血症に対する食事療法および内服治療を開始したところ皮疹は速やかに改善した。
  • 久保田 由美子, 中山 樹一郎
    2005 年 67 巻 3 号 p. 221-228
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    最近8ヵ月以内に5例のSpitz 母斑を経験した。症例1:4歳7ヵ月の女児。1歳頃にあった右膝蓋部の淡褐色斑が,半年前より増大した。症例2:22歳の男性。半年前より左膝蓋部に黒色斑が出現し,近医で悪性腫瘍を疑われた。症例3:5歳4ヵ月の女児。半年前右頬部に紅色丘疹が出現し,徐々に増大した。症例4:1歳11ヵ月の女児。生後まもなくから左下腿に径1mmの褐色斑があったが,1ヵ月前より急速に増大した。症例5:7歳の女児。初診の10日前より鼻尖部に紅色丘疹が出現し,徐々に増大した。病理組織学的には症例1はjunctional type,症例2,4,5はcompound type,症例3はintradermal typeで細胞異型は一部にのみ認められた。全例切除し再発は認めていない。症例5は鼻尖部の8mmの紅色結節であり,3回部分切除を行ったが,増殖能が高く,初診1ヵ月後,結節の辺縁より3mm離し,下床は軟骨膜上で切除し開放創とした。母斑細胞は筋肉直上まで存在していたため,今後再発がないことを確認した上で鼻翼再建術を施行予定である。
  • 中川 英華, 島内 隆寿, 村田 宏爾, 安田 浩, 戸倉 新樹
    2005 年 67 巻 3 号 p. 229-232
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    74歳,女性。左大腿部に30×25mmの類円形扁平腫瘤があり,中心部は潰瘍化していた。潰瘍部および局面辺縁には,一部正常皮膚色から黒褐色調の丘疹を認めた。この原発部位を切除するとともに左鼠径部センチネルリンパ節生検を行った。病理組織学的に,腫瘍細胞は表皮内かつ真皮全層に増殖し,澄明細胞から大型でbizarreな核を有する細胞まで種々の形態を示した。また,センチネルリンパ節にも腫瘍細胞を認めた。免疫組織学的に腫瘍細胞はCEA,EMAに陽性で,細胞質内にはCEA陽性小管腔様構造も認めた。以上より,左鼠径部リンパ節転移を伴ったeccrine porocarcinomaと診断し,左鼠径部リンパ節郭清術を追加した。ケラチン染色ではCK 5/8,CK 7,CK 8/18が陽性であり,主として本腫瘍細胞は真皮内汗管への分化を示すものと推定された。
  • 田代 あかり, 桐生 美麿, 中守 真理, 牛島 正博
    2005 年 67 巻 3 号 p. 233-235
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    66歳の女性。初診の1年程前より左足底に皮下腫瘤を自覚。徐々に増大してきたため2003年10月9日当科初診。初診時,左母趾球部に自覚症状を欠く3×3cmの弾性硬の扁平な皮下腫瘤を認めた。lipomaなどを疑い2004年1月29日切除術を施行した。手術時,結節は下床と癒着していたが簡単に剥離できた。病理組織では皮下に境界明瞭な線維性の増殖がみられ,硝子化した膠原線維束間に裂隙や丸く開大した血管腔がみられた。また細胞成分に乏しく,構成細胞は紡錘形細胞がほとんどであった。特殊染色ではvimentin,CD68で陽性,smooth muscle actinで一部陽性,S-100蛋白は陰性であった。病理組織像,特殊染色よりfibroma of tendon sheathと診断した。本症は手指や手関節に好発する良性線維性腫瘍であり,足底発生例は稀である。足底部の皮下腫瘤の鑑別診断のひとつとして本症も考慮すべきと考えられた。
  • 田代 あかり, 桐生 美麿, 中守 真理, 豊島 里志
    2005 年 67 巻 3 号 p. 236-238
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    症例は32歳の女性。2003年4月頃より背部の疼痛を伴う皮下腫瘤を自覚するようになり,同月当科受診した。初診時左肩甲骨下方に鶏卵大の弾性軟の皮下腫瘤を触知し,切除した。腫瘤は直径約3.5cmの紫紅色調で,皮下筋膜上に存在した。病理組織像では,境界明瞭で好塩基性に染まる類円形の腫瘍塊を認め,増殖細胞とそれを取りまく膠原線維が入り組んでいる像を認めた。またstoriform patternや,hemangiopericytoma様の血管構築を示す像も認めた。構成細胞は類円形ないしは短紡錘形で,異型はみられなかった。免疫組織化学染色では,CD34,vimentinで陽性を示した。以上より自験例をsolitaryfibrous tumor(SFT)と診断した。SFTは従来localized fibrous mesotheliomaと呼ばれていた疾患で,主に胸膜に発生するが,胸膜以外の発生例も多数報告されている。しかし皮膚科領域での報告例は非常に少なく,今後皮膚科においても軟部腫瘍の鑑別疾患のひとつとして考慮すべきであると考えられた。
  •  
    中山 りわ, 渡辺 秀晃, 末木 博彦, 飯島 正文
    2005 年 67 巻 3 号 p. 239-242
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    30歳の女性。約5ヵ月前より両足底に圧痛を伴う紅斑が出現し次第に内足縁に拡大した。初診時,上記部位に小豆大までの硬結を触れる暗紅色斑が多発散在し,一部列序性に配列していた。環状肉芽腫,血管炎などを疑い生検を施行。病理組織像では中小静脈の血管壁ならびにその周囲に類上皮細胞の浸潤がみられ,その周囲をリンパ球が取り囲んでいた。血管腔に血栓形成を伴っていた。本症と診断し,全身検索を施行した。ツ反:27×25/82×80(水疱形成),喀痰培養:Mycobacterium tuberculosis 陽性。血沈:23mm/hr。胸部X線およびCT:異常所見なし。4ヵ月前に扁桃腫大のため摘出した扁桃組織を確認したところ,乾酪壊死,Langhans型巨細胞を伴う類上皮細胞性肉芽腫がみられ扁桃結核が判明した。Isoniazid,rifampicin,ethambutol hydrochloride,pyrazinamideの4剤併用治療を開始し皮疹は軽快した。
治療
  • 清水 史明, 澁谷 博美, 松尾 由紀, 佐藤 治明, 藤原 作平, 青野 裕士
    2005 年 67 巻 3 号 p. 243-246
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    1995~2002年の間にケロイド15症例,17病変に対し,外科的切除術後にトラニラスト内服及び圧迫療法に加え早期の電子線照射を行った。6MeVの電子線で20ないし30Gyの照射量で実施した。これらの症例について検討した結果,17箇所のうち12箇所は再発が見られず,全体の有効率は70.6%であった。部位別,性別,照射量別,ケロイド長別での治療効果の検討では明らかな差は認めず,年齢別での検討では,20歳より若い患者に高い再発傾向を認めた。今回の検討では症例数が少ないため,今後症例を重ね確認する必要がある。しかし若年者は高齢者に比べて活動性が高く,創に刺激が加わる機会が多いことも考えられるため,患者の社会的背景も充分に考慮し,術後管理を含めた治療計画をたてることが重要であると考えられた。
  • 竹中 基, Sang Jae BAE, 佐藤 伸一, 片山 一朗
    2005 年 67 巻 3 号 p. 247-251
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    成人型アトピー性皮膚炎の難治性顔面紅斑を有する患者25例に対してタクロリムス軟膏で2週間の治療後,トシル酸スプラタストを併用した患者15例とタクロリムス軟膏単独で継続治療した10例に分けて,治療開始から10週までのトシル酸スプラタストの付加効果を検討した。その結果,全般改善度や皮疹の程度の改善効果に群間の差は認められなかった。しかし,タクロリムス軟膏の使用量はトシル酸スプラタスト併用群において有意な減少を認め(5.5g/週→ 1.2g/週),さらにタクロリムス軟膏の中止率は単独治療群が0%であったのに対し,トシル酸スプラタスト併用群では33.3%とタクロリムス軟膏の減量効果が認められた。
  • ―西部支部会員によるアンケート調査―
    安元 慎一郎, 橋本 隆, 中山 樹一郎, 小澤 明, 中川 秀己
    2005 年 67 巻 3 号 p. 252-257
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    わが国では,乾癬に対するシクロスポリン療法が承認されて10年が経過した。その臨床的有用性は周知の事実となりつつあるが,より有効かつ安全に使用するために,2004年4月に『シクロスポリンMicroemulsion Preconcentrate (MEPC)による乾癬治療ガイドライン』が,可能な限りのエビデンスを基に改訂された。そういったなか,西部支部正会員に乾癬に対するシクロスポリン療法の現況と疑問点などについてアンケートを実施し,久留米市で開催された第56回日本皮膚科学会西部支部学術大会のセミナーにおいて討論を行った。アンケートの集計結果では,『シクロスポリンMEPCによる乾癬治療ガイドライン2004年度版』は,西部支部正会員の約8割に短期間で認知されていたが,実際に読んだと回答した医師は半数であった。また,シクロスポリンの適応基準の一つとして,患者QOL評価の考慮が認知されてきたが,PASIスコアや皮疹部位を基準とする回答は少なく,皮疹面積による基準は医師間で差が大きいことが判った。今後,シクロスポリンMEPCは,初発・再燃時の『早期寛解導入薬』として積極的に選択できる薬剤の一つとして有用であり,有効かつ安全に使用するには,さらなるガイドラインの普及と理解が重要と考えられた。
  • ―爪中生菌の陰性化率と爪中薬剤濃度の相関も含めて―
    テルビナフィン真菌研究会
    2005 年 67 巻 3 号 p. 258-266
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/09/16
    ジャーナル 認証あり
    爪真菌症に対するテルビナフィン125mg/日 短期内服療法の至適投与期間を設定する目的で比較試験を行った。5施設において爪真菌症患者をテルビナフィン125mg/日 12週投与群,16週投与群,24週投与群の3群に無作為に割り付け,薬剤を投与した。投与終了36週後まで臨床効果,真菌学的効果および安全性を評価し,各群における本療法の有効性を比較検討した。その結果,総投与症例87例のうち,有効性評価の対象となった症例は56例,安全性評価の対象となった症例は84例であった。生菌の陰性化率は投与開始12週後には3群合わせて92.0%とすでに高く,投与終了36週後には12週投与群100%,16週投与群95.2%,24週投与群90.5%であった。また治癒率は12週投与群78.6%,16週投与群90.5%,24週投与群71.4%であった。臨床検査値異常を含む副作用は84例中12例(14.3%)に認められたが,いずれも軽微で重篤なものはなかった。また,爪中テルビナフィン濃度を経時的に測定した結果,薬剤濃度はいずれの投与群においても投与終了時にピークに達し,その後も投与36週後まで高値を維持し,3群間に有意差は認められなかった。以上より爪真菌症に対するテルビナフィン125mg投与は12週間でも十分有用と思われ,この治療法は患者のコンプライアンスの向上にも大いに役立つものと思われる。
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