西日本皮膚科
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治療
趾爪および足白癬に対するイトラコナゾール400mg×3サイクルパルス療法の臨床効果の検討
渡辺 昭洋
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ジャーナル 認証あり

2006 年 68 巻 2 号 p. 179-184

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抄録
2004年2月に承認されたイトラコナゾール(ITCZ)400mg×3サイクルパルス療法は,治療期間は3ヵ月,実際の服薬日数は21日間と大幅なコンプライアンスの向上が期待される治療法である。今回,日常診療においてITCZ 400mg×3サイクルパルス療法の爪白癬に対する有用性を検証するとともに,爪白癬患者の多くが併発しているとされる足白癬に対する有用性も合わせて検討を行った。エントリー症例91例(男性55例,女性36例)中,治療を完結した症例は81例(89.0%)と高い治療完結率が得られた。混濁比の推移は,パルス療法開始後速やかに改善が認められ,3パルス終了後の観察期間中においても経時的に改善が認められた。爪白癬における臨床効果は著効以上で24週目までで58.4%,44週目までで69.7%であった。パルス療法開始1ヵ月後の患者の症状改善に対する評価を聴取したところ,良い以上が爪で70.6%,足白癬で97.1%であった。本療法では1ヵ月からの効果発現が確認された。本治療法は投与初期から爪の混濁比のみならず肥厚や爪全体の色調の改善を多くの症例で経験した。このことは,患者自ら治療効果を実感できるといった観点からもコンプライアンスの向上につながり,爪白癬の治癒率をさらに高めることが出来る治療法と考えられる。
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© 2006 日本皮膚科学会西部支部
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