西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
皮膚潰瘍を伴った皮膚筋炎の1例
鍬塚 大三根 義和小川 文秀竹中 基佐藤 伸一石川 博士宿輪 哲生
著者情報
ジャーナル 認証あり

2007 年 69 巻 6 号 p. 605-609

詳細
抄録

47歳,男性。初診の9ヵ月前に手指の紅斑·腫脹と関節痛が出現し近医内科を受診した。膠原病が疑われプレドニゾロン(prednisolone; PSL)12mg/dayの投与を開始したが症状は改善しなかった。6ヵ月前より背部と手背の皮膚潰瘍を認めるようになり,四肢の筋力低下と労作時の息切れも次第に伴うようになったため,2005年12月下旬に当科を受診した。初診時ヘリオトロープ疹,Gottron徴候を認め,皮膚生検の結果とあわせ皮膚筋炎と診断した。また,胸部CTで間質性肺炎を認め,心エコー上,軽度の肺高血圧症が明らかとなった。治療として,ステロイドパルス療法の後PSL 60mg/dayおよびシクロスポリン200mg/dayの内服を行った。皮膚潰瘍に対し,basic fibroblast growth factor製剤およびprostaglandinE1軟膏の外用を行い,肺高血圧症に対してはベラプロストナトリウムの内服を行った。間質性肺炎,肺高血圧症に対する治療反応性は概ね良好であったが,皮膚潰瘍の根治にはおよそ7ヵ月を要した。悪性腫瘍の合併は認めなかった。

著者関連情報
© 2007 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top