2008 年 70 巻 1 号 p. 43-45
53歳,男性。2004年7月頃より頭頚部に紫紅色の浮腫性紅斑が出現し,次第に略全身に拡大した。また,同時期より両大腿部の筋力低下がみられた。血液検査および筋電図の結果により皮膚筋炎と診断した。その後の全身精査により胸腺癌が発見された。胸腺癌の切除と化学療法により皮膚筋炎の症状は速やかに改善した。2005年3月頃に胸腺癌の皮膚転移がみられた。胸腺癌は稀な腫瘍であるが,自験例のように皮膚筋炎の原因となり得るため,同様の症例では慎重な全身精査が必要と考えられた。