47歳の男性。15年間尋常性乾癬に罹患している。急激に皮疹が悪化し,膝関節痛,38℃台の発熱が出現したため,2003年9月来院した。また2年前から両眼に前房蓄膿が出現し,近医眼科で加療されている。体幹,上肢に輪状の紅斑が多発し,全指趾の爪甲の変形を認めた。両下腿遠位部に疣状の角化性局面が形成されていた。皮膚生検像では,錯角化を伴う角質の椀状の表皮への陥入,Munroの微小膿瘍を認めた。真皮乳頭層の毛細血管の増生·拡張,真皮上層の膠原線維の増加がみられた。白血球増加,CRP高値,リウマチ因子,HLA-B 27は陰性。両眼の活動性ぶどう膜炎を認めた。単純X線像にて左遠位指節間関節の破壊像,仙腸関節の関節裂隙の狭小化と硬化像を認めた。下腿の疣状局面はプロピオン酸クロベタゾール(デルモベート
®軟膏)·酸化亜鉛(亜鉛華単
®軟膏)の重層療法と,包帯による圧迫により徐々に改善した。体幹の皮疹はジフルプレドナート(マイザー
®軟膏)外用により急速に改善したが,四肢末梢の皮疹および関節痛は続いていた。シクロスポリン(ネオーラル
®)3mg/kg/日の内服にて関節痛,難治性皮疹,白血球増加,CRP 上昇などの炎症所見は軽快したが,副作用のため中止した。エトレチナート(チガソン
®)50mg/日の内服にて皮疹および関節痛は軽快しCRPも低下したが,ぶどう膜炎と平行して皮疹の寛快増悪が続いている。
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