2008 年 70 巻 3 号 p. 269-273
79歳,女性。11年前にBence-Jones λ型多発性骨髄腫と診断され,定期的に化学療法を受けていた。初診1ヵ月程前より躯幹にそう痒を伴う紅斑,びらん,弛緩性水疱が出現し,次第に拡大してきた。自己免疫性水疱症を疑い,右腋窩部の弛緩性水疱より生検した。表皮直下と真皮乳頭下層に裂隙を形成し,真皮上層から中層にはびまん性の炎症細胞浸潤を伴っていた。ダイロン染色にて真皮上層,毛包脂腺周囲,血管壁に赤橙色に染まる無構造物質が認められた。免疫組織染色では抗λ軽鎖抗体に陽性であった。以上より多発性骨髄腫に合併したbullous amyloidosisと診断した。ステロイド軟膏外用と抗アレルギー薬の内服によりそう痒,皮疹とも軽快した。