西日本皮膚科
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治療
そう痒性皮膚疾患に対するエバスチン(エバステル®)の有効性と安全性の検討
――追加投与による評価――
古川 福実金澤 伸雄吉益 隆西出 武司青木 真理子
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2009 年 71 巻 6 号 p. 609-615

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抄録

第二世代抗ヒスタミン薬であるエバスチン(エバステル®)のそう痒性皮膚疾患に対する有用性について, エバスチン10mg/日投与の効果不十分例に対し追加投与(20mg/日投与)した場合の有効性および安全性を検討した。そう痒性皮膚疾患の新患で未治療例および他の抗ヒスタミン薬の効果不十分例115例を対象に, エバスチン10mg/日を2週間投与し, 効果不十分の場合は20mg/日をさらに2週間投与した。20mg/日投与が有効な場合は10mg/日に減量し継続, 効果不十分の場合は20mg/日を継続し, いずれも2週間投与した。その結果, エバスチン10mg/日を2週間投与後, 再来院のあった99例中, 有効例は61例, 効果不十分例は38例であった。効果不十分例のうち脱落1例を除く37例にエバスチン20mg/日をさらに2週間投与したところ, 有効例は11例であった。これらの症例では皮膚症状とかゆみ(VAS値)の有意な改善が得られ, 10mg/日に減量後も維持された。エバスチンの追加投与に伴う新たな有害事象の発現はなかった。以上の結果から, エバスチンはそう痒性皮膚疾患に有効な薬剤であることが確認され, さらに10mg/日投与で効果不十分の場合は20mg/日投与に増量することでさらなる改善効果が期待できることが確認された。

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© 2009 日本皮膚科学会西部支部
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