西日本皮膚科
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治療
そう痒性皮膚疾患に対するオロパタジン塩酸塩の有用性の検討
――VASの減少率からみたかゆみコントロールの早期予測の試み――
渡辺 大輔春日井 親俊玉田 康彦松本 義也江崎 健司阪野 弘之
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2010 年 72 巻 2 号 p. 169-175

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抄録
目的 : そう痒性皮膚疾患患者にオロパタジン塩酸塩を処方し,患者のかゆみ症状の推移を患者アンケートおよびvisual analogue scale(VAS)の変動に関して調査を行い,VAS値が30以下となるまでの期間と患者の治療に対する満足度について検討した。方法 : そう痒性皮膚疾患患者118例に対し,オロパタジン塩酸塩5mgを1日2回2週間以上投与し効果を検討した。満足度は患者アンケートを,また効果は投与前,再診時のVAS値を用いて評価した。結果 : 湿疹・皮膚炎,アトピー性皮膚炎,蕁麻疹いずれにおいても半数以上の患者で再診1回目(2週間以内)におけるVAS値は30以下となり,また患者満足度の上昇も再診時に認められた。症例を再診1回目のVAS値≦30と>30の2群に分け,投与前VAS値と比較し検討してみたが,両群間での治療前VAS平均値に有意な差はみられず,投与前VAS値からその後の経過を予測することは難しいと考えられた。一方患者個別で初診時と比べた再診1回目のVAS減少率を基準として検討すると,減少率が50~70%に達しない場合は,その後もコントロール不良である傾向があった。結論 : オロパタジン塩酸塩は,2週間以内にかゆみ抑制効果を示すことが確認された。また,そう痒性皮膚疾患の治療においては再診1回目でのVAS減少率を指標とすることで,その後の治療予後を予測できる可能性が示唆された。
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© 2010 日本皮膚科学会西部支部
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