症例1 : 66歳,男性。5ヵ月前より右第4指爪甲に茶褐色の色素線条が出現していることに気付いた。幅3.8mmの線条で,色調に濃淡がありハッチンソン徴候は認めなかった。ダーモスコピーでは線条の途絶がみられ,悪性黒色腫を疑い,全切除生検を施行した。病理組織学的所見では,爪母基底層にメラニンを有するメラノサイトの胞巣形成があり,後爪郭爪上皮の基底層にもメラノサイトの小胞巣を認め,malignant melanoma
in situと診断した。症例2 : 60歳,女性。約2年前より右第1趾爪甲に線条が出現し,徐々に拡大してきた。幅5mmの黒褐色線条で,一部色調の淡い部分が存在した。切除生検の結果,異型メラノサイトの増生を認め,malignant melanoma
in situと診断した。爪甲下悪性黒色腫は,初期病変の診断が難しいために,切除すべきか否かで悩む場合が多い。今回我々は,爪甲色素線条における爪甲下悪性黒色腫初期病変の鑑別点について検討した。
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