過去 5 年間に九州大学病院皮膚科で経験した下肢原発の血管肉腫 4 例を報告する。症例は 4 例とも女性であり,発症時の年齢がそれぞれ49 歳,67 歳,76歳,39 歳で,うち1 例は転移による再発例であった。3 例には慢性リンパ浮腫の既往があり,Stewart-Treves 症候群と診断した。治療は症例毎に異なるが,基本的には手術療法,タキサン系の抗癌剤による化学療法,放射線療法を組み合わせた集学的治療を行った。過去の報告からも頭部顔面の血管肉腫に比べて,下肢の血管肉腫では発症年齢が若く,女性が多い。長期間の慢性リンパ浮腫患者では,Stewart-Treves 症候群の発症に注意し,リンパ浮腫ケアと早期発見のための経過観察を行う必要があると考えた。