西日本皮膚科
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症例
発症 5 年後に汎発化した再発性環状紅斑様乾癬の 1 例
上尾 大輔阿南 隆波多野 豊藤原 作平
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2015 年 77 巻 1 号 p. 20-27

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抄録

当初は膜様鱗屑を伴う紅斑のみ呈していたが,発症 5 年後に膿疱と鱗屑を伴う環状紅斑を生じ,汎発化した再発性環状紅斑様乾癬(recurrent circinate erythematous psoriasis, RCEP)を経験した。初期から完成期の病変まで病理組織像を含め検討し,初期には角層の一部に好中球が浸潤していたものの海綿状態を伴う皮膚炎が主体で,典型的な所見が得られず診断に苦慮したが,最終的には膿疱と環状紅斑を生じ,病理組織像でも表皮上層の好中球の集簇像を伴った海綿状態を呈したことから診断を確定した。皮疹はエトレチナートの内服により速やかに消退した。本邦報告例 72 例のうち発症後数年後に汎発化した例は 5 例であるが,数年間環状紅斑を生じず鱗屑性紅斑のみと報告されているのは自験例を除き1 例のみで,極めて稀な症例である。診療に当たっては初期の典型的な所見がない状況でもこの疾患を鑑別疾患から見逃さないことが重要と考えられた。

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© 2015 日本皮膚科学会西部支部
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