西日本皮膚科
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症例
皮膚生検から IgG4 関連疾患の診断に至った 1 例
中川 理恵子幸田 太執行 あかり古江 増隆
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2016 年 78 巻 2 号 p. 130-134

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抄録

64歳,男性。初診の 3,4 年前より顔面,躯幹に褐色丘疹が出現し,近医でステロイド剤,抗真菌剤外用するも改善しないため,当院に紹介された。顔面,前胸部,背部に褐色丘疹が多数みられた。背部の褐色丘疹より生検を行ったところ,病理組織では,真皮血管周囲,毛包周囲に形質細胞の浸潤と,毛包周囲に膠原線維の硝子化がみられた。免疫染色では,IgG 染色陽性形質細胞の半分以上は IgG4 染色陽性だった。血清の IgG4 は,281 mg/dl(4.8~105 mg/dl)と上昇しており,IgG4 関連疾患と診断とした。全身検索を行ったところ,CT で両肺上葉,下葉背側に淡い斑状のすりガラス影,胸膜肥厚,肺門リンパ節,気管傍リンパ節腫大,両側耳下腺内の不均一な結節状の造影効果がみられ,IgG4 関連疾患に伴う臓器障害と考えられた。膠原病内科でプレドニゾロン(PSL)30 mg/日より治療を開始し,肺病変は改善,皮疹も徐々に改善していたが,PSL 8 mg に減量したところで,肺病変が再燃し,皮疹も残存している。IgG4 関連疾患は,全身臓器を侵す全身性疾患であるが,皮膚が初発症状のこともあるため,本疾患が存在することを念頭に置いて診察する必要がある。

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© 2016 日本皮膚科学会西部支部
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