西日本皮膚科
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症例
金属パッチテストで陽性を示した肉芽腫性口唇炎の 2 例
上野 あさひ小田 佐智子濱崎 洋一郎籏持 淳
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2016 年 78 巻 2 号 p. 135-139

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抄録

症例 1:54 歳,男性。3 カ月前より下口唇の腫脹が出現し,近医にて抗ヒスタミン薬内服とステロイド外用で治療を受けるも,改善しないため当科を受診した。初診時,下口唇右側の腫脹を認めた。病理組織学的所見はリンパ球,組織球,巨細胞からなる非乾酪性類上皮性肉芽腫であった。金属パッチテストで亜鉛に陽性を示し,歯科金属除去で改善なく,ロキシスロマイシン,ミノサイクリン,トラニラスト内服で効果がみられなかった。プレドニゾロン(PSL)内服で著明改善し腫脹が消退したので PSL を漸減し中止した。その後一度再燃するも PSL 投与ですみやかに口唇の腫脹は消失し,その後は再燃を認めていない。 症例 2:20 歳,女性。半年前より下口唇の腫脹が出現した。近医にてセレスタミン® とステロイド薬外用で治療を受けるも改善しないため当科を受診した。初診時,下口唇右側の腫脹を認めた。病理組織学的所見はリンパ球,組織球,巨細胞からなる非乾酪性類上皮性肉芽腫であった。金属パッチテストで亜鉛に陽性を示し,トラニラストとロキシスロマイシンの併用内服で 10 カ月後には著明に改善し口唇の腫脹は消退した。その後は再燃を認めていない。

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© 2016 日本皮膚科学会西部支部
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