西日本皮膚科
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症例
シクロホスファミド大量静注療法とアザチオプリンの併用が 奏効した全身性強皮症に伴う間質性肺病変の 1 例
山内 恵牧野 雄成牧野 貴充福島 聡神人 正寿尹 浩信
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2016 年 78 巻 4 号 p. 356-361

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抄録

66 歳,男性。初診の 1 年前から前腕部の皮膚硬化が出現した。前医での皮膚生検の結果,強皮症の診断で当科を初めて受診した。抗 RNA ポリメラーゼ Ⅲ 体が陽性であった。顔面,手指の皮膚硬化の進行,呼吸苦が出現し間質性肺病変を認めたため,シクロホスファミド内服(100 mg/day)を開始した。呼吸苦,皮膚硬化は一時改善傾向であったが,皮膚硬化が再び増悪した。また発熱,呼吸苦が出現し,高分解能 CT で左右下肺野のすりガラス影,網状影が拡大し,動脈血ガス分析,呼吸機能検査の増悪を認め,KL-6:2282 U/ml,SP-D:418 ng/ml と上昇し,間質性肺病変は活動性があると考えた。シクロホスファミド大量静注療法(1000 mg/day,月 1 回)と共に,アザチオプリン 100 mg/day の内服の併用を開始した。シクロホスファミド大量静注療法 6 クール後呼吸苦は軽快し,胸部高分解能 CT 検査にて間質性陰影の改善,動脈血ガス分析の改善を認めた。KL-6 や SP-D,LDH は低下し,%VC や DLCO に軽度の改善を認めた。さらに皮膚硬化の改善も認めた。シクロホスファミド大量静注療法終了後,アザチオプリン単独による内服治療を継続し,5 年以上にわたり皮膚硬化および間質性肺病変の再燃を認めていない。

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© 2016 日本皮膚科学会西部支部
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