2016 年 78 巻 4 号 p. 379-381
48 歳,女性。左下腿の皮下腫瘤が徐々に増大し,当科初診 3 年前に摘出術を施行された。組織診断は脂肪腫であった。その 1 年後に同部位に腫瘤が再発し,生検を施行された。組織診断は脂肪肉腫であった。当科を紹介され摘出術を施行した。組織学的に大小不同の脂肪細胞が線維性間質を交えて密に増殖しており,異型間質細胞,脂肪芽細胞様細胞を認めた。脂肪細胞は MDM2,CDK4 陽性であった。これらの所見から atypical lipomatous tumor と診断した。術後 9 カ月経過観察しているが,再発はない。Atypical lipomatous tumor は高分化型脂肪肉腫と同義とされ,四肢の深部組織や後腹膜に好発する。予後は腫瘍の発生部位により,特に四肢や皮下では良いとされる。