西日本皮膚科
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症例
腰臀部に生じた Epithelioid Angiosarcoma の1 例
石田 倫子松田 知与高松 紘子原田 佳代占部 和敬古江 増隆
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2017 年 79 巻 1 号 p. 50-54

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抄録

79 歳,男性。初診の 4 カ月前,入浴後に失神発作があり転倒した。その後,右臀部痛が出現し,近医整形外科を受診したが骨 X 線撮影で異常所見は認めなかった。初診 1 カ月前,整形外科再診時に右臀部に多数の結節を指摘された。当科初診時,右腰臀部に疼痛を伴う多数の暗褐色結節を認めた。転移性皮膚腫瘍や痒疹を疑い,右腰部の結節より生検を施行した。病理組織学的所見では真皮内に異型細胞のびまん性増殖を認め,免疫染色で腫瘍細胞は AE1/AE3,vimentin,CAM5.2 が陽性,CD31 が強陽性を示し,スリット状の血管様構築を認めることから epithelioid angiosarcoma と診断した。画像検査より右腰臀部が原発巣と判断した。緩和的放射線照射後,化学療法を施行したが,初診 11 カ月後に永眠した。Epithelioid angiosarcoma は,本邦報告例の少ない稀な悪性腫瘍であり,自験例は上皮系腫瘍の転移との鑑別を要した。

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© 2017 日本皮膚科学会西部支部
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