2017 年 79 巻 3 号 p. 251-254
症例は 85 歳,女性。2011 年 1 月に転倒して打撲したのを契機に左腰部に皮下腫瘤を形成した。腫瘤が徐々に増大してきたため,同年 3 月に近医を受診し,当初皮下血腫の診断にて加療されていたが,同年 8 月頃より急激な皮下腫瘤の増大を認めたため,同年 9 月に当科を紹介され受診した。初診時,左腰部に熱感を伴う 15×12 cm で高さが 8 cm の表面に光沢を伴った弾性軟の皮下腫瘤を認めた。皮膚生検で脂肪肉腫を疑われ,腫瘍辺縁より 3 cm マージンにて腫瘍切除術を施行した。術中所見で腸骨との癒着を認めたため,腸骨稜全体を切除した。腹壁形成後に有茎前外側大腿皮弁と分層植皮による再建術を施行した。その後,皮弁部・植皮部の潰瘍および欠損部に対して計 3 回植皮術を施行して治癒したため,自宅退院とした。病理組織検査の結果,最終的に粘液線維肉腫 (myxofibrosarcoma) と診断した。画像による定期的経過フォローを行い,再発転移を認めていなかったが,2015 年3 月療養所で死亡した。