2017 年 79 巻 5 号 p. 473-477
42 歳,男性。1 年前より顔面左側にしびれ,前額部左側に疼痛が出現し,徐々に増悪するため,当院神経内科を受診し,精査目的に当科に紹介された。初診時,左頰部と鼻翼部の皮膚は陥凹していた。前額部左側には縦走する色素沈着と萎縮性硬化局面を認め,それに連続する前頭部左側には皮膚の陥凹と脱毛がみられた。左頰部の CT 画像で脂肪織の減少を認め,前頭部左側の病理組織で真皮浅層から下層に膠原線維の増生と膨化があり,それぞれ Parry-Romberg 症候群,剣創状強皮症と診断した。Parry-Romberg 症候群は本症例のように剣創状強皮症を合併することが多く,限局性強皮症の一亜型とも考えられている。 両疾患は,頭部画像検査で脳萎縮など様々な異常所見を認めるが,中枢神経症状を伴わないこともあるため,診断の時点で,頭部画像検査を考慮するべきである。また,皮膚病変の活動性とは相関しないため,皮膚病変が不変であっても定期的な画像検査が重要である。