西日本皮膚科
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治療
瘙痒性皮膚疾患に対するベポタスチンベシル酸塩の増量およびヒドロキシジンパモ酸塩の追加効果の検討
田代 吾子大久保 ゆかり内山 真樹保母 彩子齋藤 万寿吉坪井 良治
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2019 年 81 巻 1 号 p. 40-46

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抄録

蕁麻疹,および皮膚疾患に伴う瘙痒に対して通常量のヒスタミン H1 受容体拮抗薬(以下,抗ヒ薬)で効果不十分な場合の増量と他の抗ヒ薬追加は,蕁麻疹診療ガイドラインにおいて推奨されているがエビデンスは乏しい。そこで瘙痒性皮膚疾患に対する非鎮静性抗ヒ薬の増量および鎮静性抗ヒ薬の追加の有効性・安全性を比較検討した。対象患者 70 例にベポタスチンベシル酸塩(以下,ベポタスチン)20 mg/日を投与し,投与 2 週後に十分な効果が認められた症例ではベポタスチンを継続投与(通常量群)した。一方,効果不十分例ではベポタスチンを倍量投与(増量群),またはベポタスチンにヒドロキシジンパモ酸塩 25 mg/日を追加投与(上乗せ群)の 2 群に無作為に割り付けて 4 週間投与し,診察医により皮疹の程度を,患者アンケートによりかゆみや眠気の程度を評価した。その結果,増量群と上乗せ群のいずれも最終評価時には搔破痕スコアとかゆみスコアが有意に改善し,通常量群と明らかな差のない程度の全般改善度が得られた。一方,日中の眠気,夜間の睡眠については上乗せ群において悪化する傾向があった。以上より,通常量のベポタスチンで十分なコントロールができない瘙痒性皮膚疾患患者に対し,同薬を増量することの有用性が示唆された。

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© 2019 日本皮膚科学会西部支部
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