西日本皮膚科
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症例
p16 と MIB-1 免疫染色が診断に有用であった疣状癌の 1 例
越智 康之千貫 祐子林田 健志石川 典由森田 栄伸
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2019 年 81 巻 4 号 p. 302-305

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抄録

疣状癌(verrucous carcinoma,以下 VC)の病理組織像においては,個々の細胞は高分化傾向を示し異型性は軽度であることが多い。したがって,部分生検では診断が難しい場合が多く,全摘による病変の全体像の把握が重要とされている。しかしながら,足底発症例においては足趾や荷重部が好発部位であり,術後再建も視野に入れた場合,全摘生検を躊躇する場合がある。症例は 69 歳,男性。右足底の難治性角化病変を主訴に来院した。皮膚部分生検標本の HE 染色では明らかな悪性所見を認めなかったが,p16 染色と MIB-1 染色で陽性結果を得たことから悪性を強く疑い,全摘した結果 VC と診断された。p16 染色は子宮頚部病変においては悪性化の判断に有用と考えられており,MIB-1 染色は高い増殖能を有する腫瘍細胞で濃染し,悪性度の判定に用いられている。VC の診断においても,生検標本における p16 染色と MIB-1 染色は,広範囲の切除に踏み切るか否かについての判断根拠の一つになり得ると共に,verrucous skin lesions on the feet in diabetic neuropathy などの良性疾患との鑑別に有用なマーカーとなり得る可能性がある。

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© 2019 日本皮膚科学会西部支部
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