2020 年 82 巻 5 号 p. 331-332
症例:57 歳,女性
主訴:頭部の違和感,肥厚した感触
既往歴:脳動脈瘤手術(コイル挿入),左腎臓の良性過誤腫にて左腎摘出を行った。
家族歴:特記事項なし
現病歴:初診の約 4 年前より頭皮の違和感,肥厚した感触が出現し近医を受診した。膠原病や内分泌疾患を疑われ精査したが異常なく,頭部 CT 検査で頭皮が通常の 3 倍ほど肥厚していたため,精査加療目的に当科を紹介され受診した。
初診時現症:側頭部から後頭部にかけて頭皮が柔らかく肥厚して容易に掴め,頭皮が移動しやすい特徴を持っていた。肥厚した部位には明らかな脱毛斑はないものの,周囲と比べてやや粗毛であった(図 1 )。
超音波画像:頭皮から骨膜までの厚さが 11.3 mm と肥厚していた(図 2 )。
MRI 画像:皮膚と脂肪織の肥厚を認めた。最も肥厚している部位で約 14 mm の厚みがあった(図 3 )。
病理組織学的所見:皮下組織の増生,肥厚はあるものの異常細胞はなく,毛囊減少やムチン沈着は認めなかった(図 4 a,b)。
診断:Lipedematous scalp(LS)