整形外科と災害外科
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高齢者における不安定型橈骨遠位端骨折に対する治療成績
―創外固定群と保存療法群の比較―
市村 竜治堀内 英彦奥平 毅
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2006 年 55 巻 3 号 p. 375-379

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抄録

60歳以上の不安定型橈骨遠位端骨折に対する治療成績を創外固定群と保存療法群の2群にわけ検討した.対象は2002年5月から2005年5月までに当院で加療した86例のうち,受診時60歳以上で不安定性を認めた32例である.創外固定群11例,保存療法群21例であり,骨折型は斉藤の分類でほとんどが粉砕Colles骨折であった.創外固定群ではX線成績が良好であったのに対し,保存療法群では不良であった.ROM,握力による機能評価,合併症,関節症変化,自覚的評価では両群間に有意差は認められなかった.また,斉藤の評価基準で評価した総合成績では両群ともに成績良好であった.高齢者の不安定型橈骨遠位端骨折においてはX線上変形治癒が残存しても機能的予後,患者の満足度は良好なことが多い.治療法の選択に際しては解剖学的整復位での骨癒合にこだわる必要はなく,保存療法でも良好な成績が得られると考えられた.

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© 2006 西日本整形・災害外科学会
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