整形外科と災害外科
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上腕骨近位端骨折に対するIntrafocal pinning法
―認知症患者に対して―
田中 寿人小峰 光徳黒川 宏亮
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2006 年 55 巻 3 号 p. 380-384

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抄録

【目的】認知症患者の上腕骨近位端骨折に対してIntrafocal pinning法を施行した.【対象と方法】症例は75~88歳(平均81歳)の4例,全例女性.長谷川式簡易知能評価スケールは0~16点(平均8点),痴呆性老人の日常生活自立度はIIb~IV.骨折型はAO-A2:3例,偽関節:1例であった.手術はIntrafocal pinning法にて骨頭の背側,腹側より2本のピンにて近位骨片を挟みこみ,必要に応じて外側から3本目を追加した.ピンはいずれも皮下に埋没させた.偽関節症例には人工骨(バイオペックス)をぺースト注入した.外固定は補助的に1ヶ月施行した.【結果】全例,術直後の整復位維持状態にて骨癒合が得られた.【考察】高齢者の上腕骨近位端骨折は保存療法が原則だが,認知症が強い場合,安静保持ができず,治療に難渋する場合もある.本法により,安価で確実な固定を得ることができた.

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© 2006 西日本整形・災害外科学会
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