整形外科と災害外科
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三角線維軟骨の損傷形態と疼痛との関連性についての検討
安部 幸雄藤井 謙三坪根 徹富永 康弘津江 和成
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2008 年 57 巻 1 号 p. 140-142

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抄録

【目的】三角線維軟骨(TFCC)の損傷は手関節尺側部痛の原因として確立されているが,実際はTFCC損傷が存在しても必ずしも疼痛を生じるものではない.今回,その損傷形態と疼痛との関連性について検討した.【対象】TFCC損傷疼痛群は尺骨突き上げがなくTFCCのみ治療を行い症状の軽快した27例28関節,非疼痛群は尺骨遠位(茎状突起を含む)の骨折を伴わない橈骨遠位端骨折において鏡視下手術の際TFCC損傷を確認し,その後全く尺側部痛を生じなかった18例18関節とした.損傷形態の分類はPalmer分類及びオリジナルの分類を使用した.【結果】疼痛群:1A: 15,1B: 9,1C: 3,水平断裂: 4,背側部断裂: 5,尺骨小窩断裂: 4,複合損傷11,非疼痛群:1A: 10,1B: 3,複合: 1,大断裂: 6であった.【考察】以上より,1)1A断裂の疼痛への関与は断裂形態だけでは説明ができない,2)周辺部損傷は疼痛の原因となる危険性が高い,3)大断裂は疼痛を生じない,と推察した.

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© 2008 西日本整形・災害外科学会
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