整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
手掌部に発生したガングリオンにより特異な麻痺形態を呈した症例
林田 実池田 天史宮崎 慎一土田 徹川添 泰弘安中 正法束野 寛人中原 潤之輔
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 57 巻 1 号 p. 143-145

詳細
抄録

【はじめに】手掌部に発生したガングリオンにより,尺骨神経,正中神経の運動枝に麻痺が生じた2例を経験したので報告する.【症例】症例1:第3,4CM関節から発生したガングリオンにより,尺骨神経深枝のみが圧迫されていた.顕微鏡視下に摘出行い,速やかに症状回復した.症例2:母指球部に発生したガングリオンにより,正中神経運動枝が圧迫されていた.手根管開放,ガングリオン摘出,母指対立再建行い,ADLは向上した.【考察】ガングリオンにより尺骨神経,正中神経麻痺を呈する症例は多数報告されているが,本症例のように手掌部に発生し,かつ特異な神経症状を呈する症例は稀である.手根管及びギオン管以遠での絞扼性神経障害は,多種多様な症状を呈するため,正確な理学所見が重要であり,MRI,筋電図等の補助診断を追加することにより,速やかに診断を下す必要がある.

著者関連情報
© 2008 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top