2008 年 57 巻 1 号 p. 18-20
脛骨内側顆骨壊死様病変の進行,骨欠損を伴う膝関節症に対し,人工膝関節置換術(以下TKA)を施行後,術後早期に沈下をきたした一例について他の同様の病変に対するTKA症例と比較検討し,考察を加え報告する.症例は68歳,女性.平成11年10月頃より右膝痛増強,変形高度にてTKAを施行した.術後経過は良好であったが,術後6ヶ月頃より右下腿痛が出現し,脛骨コンポーネントの沈下ならびに内反増強を認めた.安静でも症状軽減せず,術後10ヶ月時にlong stemを使用した再置換術施行した.その後の経過は良好である.骨壊死様病変例では術前評価としてMRIによる骨壊死範囲の推定は有意義であり,手術時壊死部を完全に切除し,脛骨ブロックやlong stem使用の必要性等を検討する必要があると考えられた.