整形外科と災害外科
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広汎子宮摘出術後コンパートメント症候群をきたした1例
川畑 了大川畑 英之益田 義之小宮 節郎吉野 伸司中村 雅洋
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2008 年 57 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

今回我々は婦人科術後コンパートメント症候群を引き起こした稀な1例を経験したので報告する.症例は33歳女性,平成17年3月2日子宮頚癌に対し広汎子宮全摘術を施行された.体位は砕石位,手術時間3時間10分,麻酔時間5時間,出血量330ccであった.術後16時間で左下腿の異常知覚,疼痛を認め,術後28時間で当科受診となり各コンパートメント内圧を測定するも著明な上昇が見られず経過観察とした.婦人科術後CTでリンパ節郭清をした両外腸骨動脈の著明な狭窄が認められた.コンパートメント症候群に伴う尖足拘縮に対しアキレス腱,後脛骨筋腱をZ延長施行し経過良好である.コンパート内圧の上昇を妨げた原因としてリンパ節郭清による動脈狭窄が考えられた.現在までリンパ節郭清とコンパートメント症候群との関連についての報告は見られない.本症例からリンパ節郭清がコンパートメント症候群の危険因子となる可能性があると考えられた.

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© 2008 西日本整形・災害外科学会
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