整形外科と災害外科
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先天性股関節脱臼に対する観血的整復術の長期成績
肥後 勝吉野 伸司中村 雅洋
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2008 年 57 巻 3 号 p. 385-387

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抄録

観血的に整復し骨成熟時まで追跡できた先天性股関節脱臼16例17股の長期成績について報告する.手術時年齢は平均1.4歳,術後経過期間は平均13.2年であった.観血的整復は鼠径部皮膚皺に沿った5cmの小皮切による前方進入法で行ったが,手技によって2群に分けた.A群の6例6股は,後方関節包の非切離のため後方関節包の癒着が残存した群である.B群の10例11股は,後方関節包切離を関節内より行い全周の関節包切離と癒着剥離を行った群である.経過中に亜脱臼や臼蓋形成不全を生じた8股には5~14歳時に骨性の補正手術を行った.最終調査時,全例股関節痛や跛行はなかった.X線成績は,14股82%が成績良好(Severin分類IとII),3股18%は不良であった.B群はA群に比べ観血的整復術単独例の割合が多く成績も良好であった.観血的整復により良好な求心位と股関節の正常な発育を得るためには,関節包の全周切離と関節包の癒着剥離が重要である.

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© 2008 西日本整形・災害外科学会
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