整形外科と災害外科
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胸椎後縦靭帯骨化症の2手術症例
山口 将則中村 英一郎成澤 研一郎清水 建詞鈴木 聖裕松本 康二郎村岡 静香亀川 修一中村 利孝
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2008 年 57 巻 3 号 p. 419-423

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抄録

胸椎後縦靱帯骨化症(以下胸椎OPLL)は治療に難渋することが多い.今回,胸椎OPLLの2症例に対してinstrumentationによるdekyphosis stabilizationを併用した後方除圧術を施行し,最終的に良好な成績を得た.しかし,1例は術後起座開始後に下肢麻痺の悪化を認めた.その後,再度ベッド上安静にしたところ徐々に麻痺の改善を認め,術後3週にNC(neck chest)ブレースを装着して,徐々にギャッジアップを開始したが,症状の悪化は認めず歩行可能となり,12週でフィラデルフィアカラーに変更後も問題なく経過した.一過性の麻痺悪化の原因として,最狭窄部のOPLLの形態が限局嘴型であったこと,また術後早期の頸椎前屈動作で上位胸椎の嘴型OPLLにより脊髄が圧迫を受けた可能性が考えられた.上位胸椎の嘴型OPLL症例では術後に頚胸椎装具を用いた慎重な後療法が有効と考えられる.

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© 2008 西日本整形・災害外科学会
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