整形外科と災害外科
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PLIF/TLIF術後MRSA深部感染症で早期の掻爬洗浄と化学療法にてインプラントを温存できた3例
林 哲生白澤 建藏山下 彰久城戸 秀彦原田 岳藤村 謙次郎牛島 貴宏城戸 聡
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2009 年 58 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

インプラントを用いた腰椎固定手術の手術部位感染ではMRSAなどの耐性菌が多く,ひとたび感染が起こるとその治療は難渋し,インプラント抜去を余儀なくされることが多い.しかしPLIFやTLIFではインプラント抜去後に不安定性の増大や骨癒合不全が起こることが懸念されるため,早期抜去は回避が望ましい.今回,我々が行っているSSIに対する治療プロトコールにより,PLIF/TLIF術後MRSA感染3例においてインプラントを抜去せずに感染を制圧できたので報告する.症例1:68歳女性.腰椎変性すべり症に対してL4/5 TLIF施行.術後11日に創感染にて掻爬洗浄施行.症例2:73歳男性.腰部脊柱管狭窄症に対してL2/3-3/4 Laminotomy+L4/5 TLIF施行.術後26日目に熱発.その3日後に掻爬洗浄施行.症例3:75歳女性.腰椎変性側弯症に対してL3/4 PLIFを施行.術後22日目に感染を疑い掻爬洗浄施行.いずれのMRSA感染症も早期診断・早期デブリードマンおよびリネゾリドやバンコマイシンを含む単剤および多剤化学療法にてインプラントを温存し手術部位感染を制圧した.

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© 2009 西日本整形・災害外科学会
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