整形外科と災害外科
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軽微な外力による骨盤骨折に対し動脈塞栓術が有効だった2例
宮田 倫明村田 雅和穂積 晃久芳 昭一前田 和政松村 陽介古市 格
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2009 年 58 巻 1 号 p. 85-88

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抄録
【はじめに】X線上軽傷と思われた骨盤骨折後に大量の出血を生じ動脈塞栓術を要した2例を経験したので報告する.【症例1】87歳,女性.しりもちをついて受傷.X線では左恥骨上枝の単独骨折だった.CTで骨盤腔内に大量の出血を生じていた.造影CTでactive bleedingの所見だったため血管造影を行い両側の閉鎖動脈を塞栓した.処置中にショック症状を呈し輸血を行った.TAE後状態は安定し53日間で退院した.【症例2】85才,男性.2mの高さより転落して受傷.X線では左坐骨の単独骨折だった.造影CTでactive bleedingがみられたため血管造影を行い閉鎖動脈を塞栓した.処置中に血圧が低下し輸血を行った.TAE後状態は安定し38日で退院した.【結語】X線上軽傷と思われる骨盤骨折でも重傷化する症例があることを念頭に置くべきである.
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© 2009 西日本整形・災害外科学会
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