2009 年 58 巻 4 号 p. 693-698
【はじめに】滑膜骨軟骨腫症は滑膜内に骨軟骨組織が形成され遊離体の生じる疾患であり,膝・肘関節に多く,股関節に発生するのは比較的まれである.病期分類として Milgram 分類が有名である.【症例】股関節に滑膜骨軟骨腫症の発生した 24~44 歳の男性 2 名,女性 1 名.いずれも遊離体摘出+滑膜切除施行し,Milgram 分類 2 期の診断であった.24 歳の男性に残存病変からの再発を認めた.【考察】画像診断が有用であり,特に CT,MRI,関節造影がより有用である.保存的療法は効果に乏しく,一般には手術療法が選択される.遊離体の完全摘出と十分な滑膜切除が望ましいと考えられ,このためには脱臼操作が必要と思われるが,骨頭壊死の危険性があり,可能であれば避けるべきである.【結語】股関節に生じた滑膜骨軟骨腫症の 3 例を経験した.若年発生例において残存・再発症例を認めた.脱臼操作を行わない手術法が好ましいと思われる.