整形外科と災害外科
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後期高齢者大腿骨頸部骨折に対するCross Screw法の治療成績
川口 耕平岩永 斉原 真一郎
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2010 年 59 巻 3 号 p. 413-418

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抄録

当院では大腿骨頸部骨折の治療にCannulated Cancellous Screw 2本を用いて(以下Cross Screw法)固定を行ってきた.2006年1月~2009年3月までの非転位型大腿骨頸部骨折にCross Screw法をおこなった高齢者46例のうち,受傷時年齢が75歳以上,術後6ヶ月以上経過が確認できた23例の治療成績を報告する.対象は男性3例,女性20例,平均年齢81.6歳であった.骨折型は全例非転位型であり,受診から手術までの期間は平均1.5日であった.手術は局所麻酔16例,腰椎麻酔7例下に行った.骨癒合の有無,術後合併症,歩行能力の変化などを検討した.全例に骨癒合が得られたが,経過中に3例late segmental collapseを合併し,2例に人工骨頭置換術を施行した.創感染や創治癒遅延,転子下骨折などの術後合併症は生じておらず,歩行能力の極端な低下は認めなかった.高齢者の大腿骨頸部骨折にCross screw法は有効な手術法のひとつと考えた.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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