2010 年 59 巻 3 号 p. 468-471
骨盤原発悪性腫瘍広範切除後の再建は非常に苦慮し,特に寛骨臼部発生例では人工関節や関節固定術が行われてきたが,その機能改善は満足するまでは得られない.我々はP2原発悪性腫瘍に対して,血管柄付き腓骨移植と術中体外照射骨を用い再建した2例を報告する.【症例1】14歳男性.骨肉腫Stage IIb例.骨腫瘍をEn Blockに広範切除し60Gyで照射を行い,元位置に返納しプレートで内固定した.移植腓骨は恥骨から腸骨まで骨切り部をまたぎ骨盤輪を再建するように設置した.術後2年で小走りも可能となった.【症例2】44歳男性.軟骨肉腫Stage Ib例.症例1と同様の手術を行った.術後7年で疼痛少なく歩行可能である.【結論】術中照射骨による再建は1989年Uyttendaele等によって導入され,骨腫瘍に限られた固有の再建方法である.照射骨は形状の適合に優れるものの壊死骨であるため,血管柄付き骨移植との併用が再血行化や力学的強度の補強の点で有用である.